目標に向かって元気よく走れるときもある。でも、疲れてしまうときや、病気で倒れてしまうときもある。それどころか、どっちに向かっていけばいいのかさえわからなくなるときだってある。ロマンロランは小説「ジャンクリストフ」の中で人生を振り子にたとえている。幸せの方にふれるときもあれば必ず反対側にも振れる。振り子を止めようとしたら壊してしまうしかない。…振り子のように周期的に訪れるかどうかはあやしいが、たしかにそんなものだと思う。いつもいつも幸せの絶頂でいられる人なんてこの世に存在しない。この小説の主人公ジャンクリストフは音楽についての天性の才能を神に与えられながらも苦労に苦労を重ねて人生をまっとうする。ページの多くは彼の苦労の道のりを描写している。人生とは何か、それを考えるにはもってこいの読書。でも、この本には、神から与えられた天分の発見方法については書かれていない。また天分の無い凡庸な魂を救う手立ても。与えられし者であっても人の世ではこんなにも誤解され認められず苦労ばかりする。このことからわれわれ凡人は押して知るべしなのかもしれない。ただ走り続けてみること。シナリオで言えば書き続けてみること。そうすれば人生の振り子はいつかは幸福の側に振れてくれるものなのかもしれない。