どの店でも悩みの種は、万引きである。
万引き、というと、何だか軽い罪のような気がするけど、泥棒であることには、変わりはない。
大犯罪である。
店によっては、監視カメラを設置したり、商品に磁気カードをつけて、そのまま持って出ると、店の出入り口で警報のブザーが鳴る仕掛をつくったり、さまざまな対策を講じている。
大手の書店だと、一年のうちに、ほぼ一日の売り上げに相当するぐらいの商品が万引きされるというデータもあるくらい。
本のような小さな商品だと、簡単にカバンやポケットに入るし、店内にお客さんの多いところだと、店員の監視の眼も充分に行き届かないのだから格好の餌食にされてしまうらしいのだ。
そんな万引きに頭を悩ませたある書店が、こんな看板を店内に出したところ、万引きが激減したという。
「当店では店員が充分に監視していますが、万引きが絶えません。
どうしたら防ぐことが出来るでしょう。
お客様の中で、名案をお持ちの方がいらっしゃいましたら、どうぞお教え下さい。」
この看板の最大の効果は、遠まわしに、店員が常に監視している、と言っているところにある。
店に出す看板に、直接、万引きには眼を光らせています、と書けば、あの店は、なんだ!けしからん!ということになりかねないが、この書き方ならば、そんな反感を生じさせることなく、すんなり受け止めてもらうことが出来る。
そして、万引きをしようと思った人も、店員が充分に監視している、という言葉を見て、はっとして、思いとどまるはず。
また、まわりの客も、この店は、そんなに万引きが多いのか……、となんとなく周りに眼を配り、万引きは、ますますやりにくくなる。
これみよがしに制服を着たガードマンに店内を徘徊させる店をよく見かけるが、このように低姿勢に出たほうが、かえって、効果があったりする場合もあるものである。
無駄な人件費も発生しないし……。
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