「翔太ぁっ♪ こっちこっちぃ♪」
「おっ、美結喜。 待たせて悪ぃ。
それにしても、やけに元気だな。」
「だって、翔太と久しぶりのデートだもんっ♪」
おっと悪い。 紹介が遅れた。
俺は、九重 翔太。 17歳。 身長は176cmだ。
えーっと、このやけにテンションの高いやつは
俺の彼女の 朝倉 美結喜。 16歳。
158cmという 小さい身長が俺のお気に入り。
中3の時に告白されて、俺も好きだったから
付き合うことになった。 今ではバカップルだ。
こうしてみると、もう2年の付き合いになる。
「翔太・・・?」 「うぉっ! あ、悪ぃ。 どうした?」
不意に顔を覗き込まれた俺は、びびった。
「いや翔太がボーっとしてたから・・・。」
「ごめんな。 ちょっと考え事してて・・・。」
「えー 考え事? またエッチなことでも・・・」
「はぁ!? そんな事ねぇょっ!」
「あっ!ムキになった! やっぱそうなんだっ!」
「違うっつってんだろ!しゃぁねぇなぁ・・・」
「何さぁ・・・ 教えてくれるのぉ?」
「あぁ・・・。 仕方ねぇやつだなぁ・・・
あのな・・・ って、おい! 美結喜っ!」
「あははぁっ♪ ごめんねぇ。
かわいい服みつけちゃってさぁ♪」
美結喜はいつの間にかお店の中を覗いていた。
「あっ!おい、待てよっ!」
「きゃははっ♪ こっちまでおいで〜♪」
楽しそうに逃げていく美結喜を俺は追いかける。
「はぁっ、はぁっ。 やっと捕まえた・・・。
はぁ〜・・・ 疲れたぁー・・・。」
「クスッ♪ 久しぶりに走ったねぇ〜♪」
「あっ♪ 翔太っ! いい物見つけたよっ♪
あっちいこぉっ! あっち、あっち♪」
「えぇっ? 俺もう疲れたよ・・・
美結喜、俺の事振り回しすぎ・・・。」
「えーっ。 だってぇ、久しぶりのデートじゃんっ♪
楽しまなくっちゃねぇっ♪」
と、美結喜はやけにはしゃいでいる。 だが俺は、
「ちょっと俺は休んでるから・・・
自由に見てこいよ。」
「え、いいの? じゃあ〜・・・
ちょっとだけお言葉に甘えてっ♪」
待っててねぇ〜♪
と楽しそうな声で言ってから手を振って
美結喜はスキップをしながら去って行った。
俺はそばに自販機を見つけて水分補給をしていた。
と、その時・・・span>

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2008/2/13
目を開けるとそこは、
シーン と静まりかえった闇の中だった。
「誰も・・・いない・・・?」 「誰かいるのかっ!?」 ・・・・・・
返事は何もない。 俺がここはどこなんだろう・・・
と悩んでいると、どこからか クスッ
という誰かの笑い声が聞こえた。
「誰だっ!?」 返事は相変わらずない。
ただ、 クスッ♪ という
楽しそうな笑い声が聴こえてくるだけだった。
「クスッ♪ あははっ」
「え・・・ その笑い声・・・ 美結喜か・・・っ!?」
「あーぁ。 ばれちゃったぁ♪ やっと気付いた?」
「やっぱり、美結喜なのかっ!?」
と言うと、美結喜が暗い闇の中から姿を現した。
「ごめんねぇ。 いきなり死んじゃって。
自分でもこんなに早く死ぬとは思わなかった・・・。」
「え・・・っ!? 死ん・・・だ・・・?」
翔太の頭の奥底に忘れ去られていた記憶が
今、鮮明にまぶたの裏に蘇る。
「あ・・・・・・」 翔太の目から次から次へと
涙が零れ落ちる。
「え、翔太っ!どうしたのっ!?」
「ごめん美結喜・・・ 俺のせいで・・・ 辛い思いさせて・・・っ」
「えっ・・・! そんな事ないって!
久しぶりのデートでうかれてて不注意だったのは
あたしだし・・・。それにねっ、相手も居眠り運転だったの・・・。
だから、俺のせいだ。って言って、自分を攻めないで・・・・・・」
翔太は、美結喜の目に光るものを見つけた。
「でも、俺・・・」
めずらしく翔太が弱気になっている。
「でも・・・じゃないでしょっ・・・
いつもの翔太は・・・
そんなに後ろ向きじゃなかったはずだよっ!
あたし、知ってるんだから・・・
だから・・・・・・ だから、いつもの翔太に戻って!
明るくて、前向きで・・・いつも元気な翔太に・・・。
頑張って! あたし、ずっと翔太のそばにいるから。
傍でずっと応援してるからっ!
翔太の事、ずっとずっと忘れないから・・・・・・っ」
美結喜は目に涙を浮かべながら俺の事を応援してくれた。
そして、暗い闇の中に、ゆっくりと消えて行った・・・。
その時、俺はふと疑問に思った。
「知ってるって・・・何を・・・だ・・・・・・?」
「・・・。 美結喜・・・・・・」
でも、美結喜は、俺の見えないところで・・・
俺の知らないところで、ずっと応援してくれてた。
今だけじゃない。 美結喜が死んでからも・・・。
俺は、今心に誓った。
美結喜の気持ち、しっかり受け取ったよ・・・。
決してお前を・・・ 裏切らないっ!!
・・・太っ ・・・・・・ 翔太・・・ 翔・・・
「翔太ってばっ!!!」 「はいぃっ!?」
俺はびっくりして目を覚ました。
ついでに、変な声まで出てしまった。
しばらく、その場がしらけた。
「・・・ ぷっ! あははっ! もうだめっ!
翔太、なにそのまぬけな顔っ!!! あははははっ♪」
「えっ!?」
「鏡見てごらんよっ」
優奈が必死に笑いをこらえながらそう言った。
鏡を見たら、俺の顔は涙と汗でぐしゃぐしゃになっていた。
「うわっ!なにこれっ! これって、本当に俺かっ!?」
あはははっ ・・・・・・ 2人の楽しそうな笑い声は
病室中に響き渡っていた。

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2008/2/3
次の日・・・。
頭が痛い。 すごく重く感じる・・・
そういえば・・・
俺、昨日まで何してたっけ・・・。
記憶が無い。
昨日何をしていたかも覚えてない。
えっと・・・・・・
あーもうっ! わけわかんねぇ・・・
思い出そうとすると、頭の痛みが増す。
もう最悪・・・。
・・・・・・太・・・
「ん・・・?」
急に誰かに呼ばれた気がした。
俺は、出かけようとしてコートを取った。
今は12月・・・
外は寒いから温かい格好をしている。
と、コートを着たその時・・・。
血がついていることに気がついた。
「!? なんだ、この血・・・」
ドアノブに手をかけ、
外にでようとした瞬間、翔太は倒れた。
ピーンポーン・・・ ピーンポーン・・・
チャイムがなる。
ドンドンドンドンッ ドンドンドンドンッ・・・
「翔太ぁーっ 翔太ー?」
反応がない・・・ ガチャッ・・・
ドアをいじっていたら開いた。
「あ、開いた。ゴメンね翔太。入るよー。」
「っ!?」
部屋に入った瞬間、声を失った。
目の前には、倒れている翔太がいる。
ピピッ ピッ プルルルルルッ・・・
「あっ、もしもしっ!
あのっ、楠木ですけど・・・ 今、友達の家に入ったら
その友達が倒れてて・・・! はいっ!
あ、住所は・・・」
ピーポーピーポー・・・
ガチャッ バタンッ!
ピーポーピーポーピーポーピーポー・・・
翔太は病院へ運ばれた。
「ん・・・っ。あれ・・・どこだ・・・?ここ・・・」
目を覚ましたら、見覚えのない場所。
「夢・・・か・・・?」 体を起こす。
「あっ!翔太、まだ起きちゃだめっ!」
「えっ? 優奈・・・っ!?」
突然大声を出された俺は、目を丸くしていた。
「で・・・ ここ・・・ どこだ?」
「・・・・・・病院・・・。」
「はぁ? なんで俺が病院なんかに?」
「ぁたしが翔太の家に行って、
チャイムならしたんだけど、
全然反応がなくて・・・
ドアノブ回したらかぎ開いてたから、
家の中に入ったら翔太が血の付いた
コート着て倒れてたの・・・。」
心配そうな眼差しを向けてくるこいつは、
楠木 優奈。 俺と中学のときからの同級生。
美結喜と付き合う前は、
優奈に飯を作ってもらったりしていたんだ。
だから、美結喜以外に俺の
家の鍵をもっているのは優奈だけだ。
「血のついた・・・・・・コート・・・? ・・・っ!」
急に俺の頭に激痛が走った。
頭を割られる感じの痛み・・・。
翔太は頭を抱えて痛がった。
「っちょっ!? 翔太っ!?
ど・・・どうしたのっ 急にっ!」
焦る表情を見せる優奈。
「あ・・・頭が・・・っ!」
「今、看護婦さん呼ぶからっ!
もうちょっとだけ我慢してっ!」
ピピピピピピピッ・・・ ガチャッ
「はい、ナースステーションです。
どうかなさいましたか?」
「あのっ、見舞いに来た者なんですが・・・
翔太が頭痛を訴えていて・・・!」
「はい。わかりました。 今から伺います。」
カツッ カツッ・・・
看護婦さんがきた。
「九重さん、大丈夫ですか?
今、痛み止めを打ちますからね。」
と言い、鎮静剤を打った。
そして俺は眠りについた。

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2008/1/21
ドンッ!
とすさまじい音がした。
俺は飲んでいたジュースを噴出してしまった。
何が起きたかわからず、ひとまず
こぼしたジュースと口を拭いて前を見た。
そこには人だかりが・・・
なんだか、ざわざわとしゃべっている。
すいませんっ すいませんっ
と俺が人込みの中に入っていくと・・・
目の前に広がった光景は・・・事故だった。
よく見ると、見覚えのある服装が隙間から見える。
翔太の心臓が ドクンッ と跳ね上がる。
そう、翔太の目の前の光景は・・・
さっきまで楽しそうにしてた美結喜だった。
その美結喜が、今では頭から大量の血を流して倒れている。
「美・・・結喜・・・!?」
翔太がすかさず美結喜のそばへ駆け寄るり、抱きかかえる。
「美結喜っ!? おいっ! しっかりしろっ!」
「翔・・・・・・太・・・? ゴメン・・・ネ・・・。
あたし・・・っ、翔太のこと・・・ 大・・・好き・・・・だよ・・・・・・っ」
その言葉を言い、最高の笑顔を見せたかと思ったら
美結喜は幸せそうな顔をしながら目を瞑ってしまった。
「おいっ!? 美結喜!? 美結喜・・・っ?
おい、目を開けろよっ! 美結喜ぃぃぃぃっ!!!」
翔太の叫び声が町中に響き渡った。
道行く人が かわいそうに・・・ と、声を失っていた。
翔太は美結喜の突然の死を受け入れられずに
その場に呆然と立ち尽くしていた。
救急車が来て、美結喜は病院に搬送された。
心臓はすでに止まっていた。
でも、まだ美結喜には体温が残っている。
俺は、美結喜はちゃんと生きている
って思ってたんだ。 その時は・・・・・・。
だけど、だんだんと美結喜の体が
冷たくなっていくのは、俺にもわかった。
医者は、可能性は低いが、
最後の望みを・・・と手術をした。
だが、「最後まで出来ることは尽くしました。
残念ですが・・・ もう・・・」
と真実を告げられた。
俺は美結喜の死を受け入れられなかった。
今すぐにでも 「嘘つくんじゃねぇよっ!!」
って言って、医者に殴りかかりたかった。
でも、これはあくまでも現実。
逃れることは出来ない・・・。
そして、ショックでその場で泣き崩れた。
「美結喜ぃぃぃっ・・・ うわぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・」
後日・・・美結喜の告別式が行われ、
俺は親族側に入れさてもらった。
仏壇の前では、ずっと
「美結喜・・・っ 美結喜・・・」
と何度も名前を呼びながら泣いていた。

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