生物の進化を鎖の輪にみたて,たとえば,類人猿と現代人との問にあると想定される欠けた部分の未発見の化石生物を意味するミッシングリンク(missing link)―欠けている輪という意味になぞらえている. 石炭や石油などの化石燃料の燃焼で発生するC02の量は,各国のエネルギー統計などから比較的正確にわかり,年間炭素で約55億tに達する.さらに森林破壊などで10から20億tの炭素放出があると推定されている.人為的な理由で放出されるこの65から75億tの炭素がそのまま大気中に残存すればし年々大気中の炭素濃度は増加していくはずである.ところが実際にはそ引・まなっていないのである.大気中に存在するC02濃度も正確に測定できるので,これによれば大気中に残るのは炭素で約35億1になる.残りの30から40億tは海洋か生物に固定されていることになるが,海洋の炭素吸収能力には限界があり,20から25億tとされている. したがって,差引勘定から10から15億tが行方不明分であり,宇宙にでも逃げて行かない限りどこかにその吸収源がなければならない.その不明の吸収源をミッシングシンクと呼んでいる.ちなみにシンクとは窪地とかため池という意味である. 不明分として考えられるに,海洋のCO2吸収能力が実際にはもっと大きいのか,海洋生物や北半球の森林によるCO2の固定によるのか,あるいはC02濃度が高まるにつれて,生物のC02固定化能力が高まり,これにともない土壌中の炭素分のせいか理由は定かではない.この解答を得るには,海洋での表層と深海層や北半球や南半球との問のダイナミックなC02の挙動の理解や,森林によるCO2固定についての一層の深い理解が必要である.いずれにしても,,炭素は人気中には7,500億t,海洋には40兆tも存在する.この中で10とか20億という極めてわずかな量を議論するわけであり,相当困難な作業であることは想像に難くない.
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