●経穴(ツボ)(Acupoints)
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私は、若いとき、『東洋医学・経穴編』(学研)
という本を書いた。
「本」というよりは、「辞典」に近い。
しかしその本を書くのに、私は7年も、費やして
しまった。
(7年だぞ!)
毎日が、「書くのをやめようか」「しかしここで
やめたら、今までの努力が、水泡に帰す」の
繰りかえし。
が、7年もかかったのには、別の理由がある。
当初私は、中国式の取穴法で本をまとめていた。
日本には、さしたる文献も資料もなく、それで
「中国式で」となった。
原稿は、半年足らずで完成した。
で、出版社に原稿を渡す段階で、それに「待った!」を
かけてきたのが、「日本K穴委員会」。
本といっても、出版社が1億円近い予算をかけて
つくる本である。
ふつうの本ではない。
で、当時、WHOを舞台に、日本と中国は、その取穴法
について、はげしく対立し始めていた。
日本は、当然、「日本式」を主張した。
中国は、当然、「中国式」を主張した。
日本の取穴法は、あまりにも杓子定規的。
体のそれぞれの部位から、「〜寸」という取穴法を採用していた。
一方中国の取穴法は、実用的。
体の各部位を折り曲げたりして、その凹みなどに、経穴(ツボ)を求めていた。
どう考えても、日本式には勝ち目がなかった。
が、日本K穴委員会は、私が書いた本をたたき台に、
中国とやりあうつもりでいたらしい。
で、取穴法が、二転三転した。
そのたびに、私は原稿の書きなおしを迫られた。
それで7年もかかってしまった!
が、私にとっては、貴重な7年である。
私がちょうど30歳のときから、37歳のときまで。
私は、そんなくだらない本のために、7年も
無駄にしてしまった!
「日本式」とはいうものの、科学性はゼロ。
先にも書いたように、文献など、求めようもない。
私が子どものころには、「針・灸・按摩」というのは、
主に身体に障害のある人たちが、する仕事ということになっていた。
当時も、まだその流れの中にあった。
それをどこからか、いきなり「権威者?」たちが現われて、
「ああでもない」「こうでもない」と言い出した。
経穴(ツボ)というのは、その位置が、個人の体格に
応じて、微妙に異なる。
日本式のように、杓子定規的に求めても、意味はない。
ないから、結局は、日本式は、少なくともWHOという舞台では、
認められなかった。
当然である。
で、それからほぼ、23年。
今度は、中国と韓国の間で、経穴論争が起きているという。
ともに、「うちが元祖だ」「いや、うちこそが元祖だ」と。
今朝(08年7月6日)の朝鮮N報は、つぎのように伝える。
『はり治療の元祖はどこかをめぐり、韓国と中国が論争を繰り広げている。
論争は世界保健機関(WHO)が2003年から韓国、中国、日本の伝統医学専門家との議論を経て、361個の経穴(つぼ)の位置に関する国際標準を定め、昨年公式本が発行されたことがきっかけだ。
(中略)
しかし、韓中日3カ国の医学界では経穴の位置に違いがあり、異なる名称を使用してきた。このため、3か国の専門家はWHOの要請に従い、中国の古代文献を参照しながら、各国の経穴の位置を比較調査した。
その結果、361個の経穴のうち4分の1に相当する94個の位置が、異なることが分かった。これを統一するため、WHOは国際標準を定めることを決定。3か国は11回の協議で標準案をまとめ、昨年発表した。
大韓韓医師協会は先月18日、WHOが定めた鍼灸(しんきゅう)経穴部位に関する公式本の出版行事で、「WHOが公認した361個の経穴の99%近い357個が韓国の韓医学における経穴の位置に従ったものだ」と指摘し、韓国の伝統医学の安全性と信頼度が国際的に評価されたと主張した。
これに対し、中国が激怒した。4日の中国国営・新華社通信によると、中国中医科学院鍼灸研究所の黄竜祥副所長は「361個の経穴の位置はほぼ100%が中国の基準に従ったものだ。359個は中国の経穴の位置とまったく同じだ」と主張した。
同通信はまた、WHOが最近韓国をけん責し、非公式ルートで韓国が中国側に遺憾の意を伝えてきたと伝えた』(以上、朝鮮N報より)と。
経穴(ツボ)はともかくも、経穴と経穴をつなぐ経絡(けいらく)に
ついては、神経介在説が、今では常識。
経絡イコール、神経と考えてよい。
だから韓国式のように、「解剖学的基準」が、ひとつの基準となっても、
何ら、おかしくない。
そういう点では、韓国式の取穴法は、より科学的ということになる。
で、今回の論争となったらしい。
……この記事を読んで、私は久々に、私が書いた『東洋医学・経穴編』
という本を思い出した。
出版元は、学研。
定価は、2万円〜。
著者は別の2人になっているが、(私は、著者兼企画構成者)、当時は、
そういう形で、本に権威づけをして売るのが習わしになっていた。
どうでもよいことだが、その本の人体モデルになってくれたのが、
当時の私の生徒であった、M君である。
私はそのM君を写真に撮り、その写真の上に経穴(ツボ)を書き込んで
いった。
なお私はこの本を書き終えたあと、『目で見る漢方診断』(飛鳥新社)を
書き、東洋医学、つまり漢方の世界から、足を洗った。
戸棚いっぱいあった参考書や文献などは、数冊をのぞいて、
すべてを処分した。
『目で見る漢方診断』は、HPのほうに、全文、収録して
あるので、興味のある方は、ぜひ、見てほしい。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 Hiroshi Hayashi education essayist writer Japanese essayist 東洋医学 経穴 経絡 ツボ)