●バウチャー制度
+++++++++++++++++
まず6年前に書いた、新聞記事
をそのまま紹介する。
この中で、私はアメリカのバウチャー
制度について、少し触れた。
+++++++++++++++++
●教育の自由化
アメリカでもオーストラリアでも、そしてカナダでも、学校を訪れてまず驚くのが、その「楽しさ」。まるでおもちゃ箱の中にでも入ったかのような錯覚を覚える。
写真は、アメリカ中南部にある公立の小学校(アーカンソー州アーカデルフィア、ルイザ・E・ペリット小学校。生徒数三百七十名)。教室の中に、動物の飼育小屋があったり、遊具があったりする。
アメリカでは、教育の自由化が、予想以上に進んでいる。まずカリキュラムだが、州政府のガイダンスに従って、学校独自が、親と相談して決めることができる。オクイン校長に「ガイダンスはきびしいものですか」と聞くと「たいへんゆるやかなものです」と笑った。
もちろん日本でいう教科書はない。検定制度もない。
たとえばこの小学校は、年長児と小学一年生だけを教える。そのほか、プレ・キンダガーテンというクラスがある。四歳児(年中児)を教えるクラスである。費用は朝食代と昼食代などで、週六十ドルかかるが、その分、学校券(バウチャ)などによって、親は補助されている。驚いたのは四歳児から、コンピューターの授業をしていること。また欧米では、図書館での教育を重要視している。この学校でも、図書館には専門の司書を置いて、子供の読書指導にあたっていた。
授業は一クラス十六名前後。教師のほか、当番制で学校へやってくる母親、それに大学から派遣されたインターンの学生の三人で当たっている。アメリカというと、とかく荒れた学校だけが日本で報道されがちだが、そういうのは、大都会の一部の学校とみてよい。周辺の学校もいくつか回ってみたが、どの学校も、実にきめのこまかい、ていねいな指導をしていた。
教育の自由化は、世界の流れとみてよい。たとえば欧米の先進国の中で、いまだに教科書の検定制度をもうけているのは、日本だけ。オーストラリアにも検定制度はあるが、それは民間組織によるもの。しかも検定するのは、過激な暴力的表現と性描写のみ。「歴史的事実については検定してはならない」(南豪州)ということになっている。
アメリカには、家庭で教えるホームスクール、親たちが教師を雇って開くチャータースクール、さらには学校券で運営するバウチャースクールなどがある。行き過ぎた自由化が、問題になっている部分もあるが、こうした「自由さ」が、アメリカの教育をダイナミックなものにしている。
+++++++++++++
バウチャー券というのは、学校
教育に対してだけしか利用できない、
クーポン券のことと思えばよい。
「商品券」でもよい。
たとえば年間、10万円のバウチャー
券を支給されれば、親は、それを
「学費」として使用することが
できる。
わかりやすく言えば、それにより、
親が国から直接、援助を受ける
ことになる。
「では現金でそれをすればよい」
というふうに考える人もいるかもしれ
ない。
しかし現金だと、それが何に使われるか
わからない。親によっては、遊興費に
流用してしまうかもしれない。
そこでバウチャー券ということに
なる。少し前までは、「クーポン券」
(東京都など)と呼ぶ政治家もいた。
(バウチャー=voucher……
証票、証明書、引換書、商品券のこと
(IMIDAS))
++++++++++++++
日経ニュースサイトは、つぎのように伝える。
『政府の教育再生会議(N座長)が検討している「教育バウチャー(利用券)」制度の素案が、10月27日、明らかになった。保護者が利用券で子供の通う学校を選ぶ仕組みをまず特区を使って地域限定で導入。小中学校だけでなく高校、幼稚園にも拡大する。公立、私立から幅広く学校を選択したり、低所得者世帯の私学就学を援助したりする案も検討する。
同会議は教育バウチャー制度について年末にまとめる第3次報告に盛り込む方針。政府は早ければ来年度にも導入したい考えだが、詰めるべき点も多く想定通り実現するかどうかは微妙だ』と。
このバウチャー制度は、日本の教育にとって、画期的な制度となる。この制度により、従来の国や自治体による補助金制度が、根本的な部分で、ひっくり返ることになる。
従来の補助金制度では、(国や自治体)は、(学校や幼稚園などの学校法人)という(法人組織)に、補助金を交付してきた。けっしてハンパな額ではない。だから学校や幼稚園は、上から落ちてくる補助金だけを見ていればよかった。
それがバウチャー制度により、国や自治体の補助金が、一度(子どもをもつ父母)を経由することになる。そのバウチャー券を手にした父母は、学校や幼稚園に対して、バウチャー券という商品券で、学費を支払うことになる。
つまり親のほうが、学校法人を選択、管理するようになる。当然のことながら、今までは、(上)だけを見ていればよかった学校や幼稚園は、バウチャー制度によって、今度は(下)も見なければならなくなる。それだけきびしい環境に置かれることになる。
だいたいにおいて、今までの補助金制度そのものが、おかしい。国や自治体は、(法人)は助けるが、(個人)は助けない。これは欧米の常識とは、逆。欧米では、(個人)は助けるが、(法人)は助けない。
バウチャー制度は、そうした日本的な常識を、打ち壊す威力をもっている。あるいはその第一歩となるかもしれない。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 バウチャー バウチャー券 boucher)